中川秀直「官僚国家の崩壊」講談社榊原英資「政権交代」文藝春秋政局的には両極におられるお二方ですが、主張している処方箋はほとんど同じです。もうそろそろ「薩長同盟」の時期ではないでしょうか。(「なるようにしかならねぇってことよ。」by 勝海舟)
もっとも榊原氏の「小泉・竹中憎し」の怨念には読んでてかなりひきました。この人「政治家向き」じゃないね。以前も(
コチラ)榊原氏を松平忠信や水野忠邦(改革派として登場する反動勢力)に比しましたが、この人の性格はどちらかというと
小栗忠順だね。
せめて本だけでも二冊なかよく古本屋行き。
「
Foundation」 Isaac Asimov
SFを読むのは実は初めて。(萩尾望都さんの「11人いる!」は中学生のころ読んだけど。)もともとアシモフは「黒後家蜘蛛ミステリー・シリーズ」を
SPGに紹介されて読んでみたことがあったのだが、アシモフの真骨頂であるSFには縁がなかった。
たまたま本屋で手が伸びた。
本人もギボンの「ローマ帝国盛衰史」からパクったといっていたそうだが、大銀河帝国の衰亡から、新しい勢力が伸長する様子を描く。SFの背景を借りた人類歴史社会学みたいな内容。最近のフィクションにありがちな冗漫なところがなく、簡潔なスタイルで短くまとまっていて、かつ読み応えあり。
英語でいい文章を書く為の栄養剤としてちょっと彼の作品を読み続けてみよう。
廣瀬 陽子 「コーカサス 国際関係の十字路」 集英社例のグルジア・南オセチア紛争で「なんかオレ、全然ここら辺のこと知らないな...」と思って読んでみた。
オーストリア・ハンガリー帝国の崩壊の後、東欧・バルカンがゴタゴタしたように(旧ユーゴなんか今でもくすぶっているが)、ソ連崩壊後のコーカサスの諸国・諸民族もずいぶん時代遅れのしこりを抱えているようだ。こうした風通しの悪い、吹きだまりのような、時代と世界経済に取り残されたような地域の紛争というのは、本当にむなしい。スーダン・ソマリア・ダーフールなんかもこのたぐいだな。
興味深く一読させてもらったが、「まぁ最低限の知識だけもっておけばいいな」という結論。コーカサスのことを知らなくても私の人生にとって当面問題はないなということが分かったことが収穫。
しかし廣瀬さん。なかなか切れる女性のようだ。
池田信夫 「ハイエク 知識社会の自由主義」 PHP我が母校、LSEが世界に誇るハイエクさんの世界への優しい入門本。書いた人は日本屈指のブロガー(
コチラ)。
もっとも私のLSE在学中は法律の授業についていくので精一杯で、あたかもサッチャー政権末期のイギリスにおける、このサッチャー革命の思想的支柱であった哲学者を巡る議論には参加できなかった。もったいない...。
この本を読んで、ハイエクさんの思想の土壌・原点が帝政崩壊後のウィーンに会ったことを知り、なんか懐かしくなってしまった。(以前のエントリーは
コチラ)