先月の東京出張中、日常雑貨・食材の買い物は宿泊先の近所にあった大丸ピーコックで済ませていた。
出張中は外食が多いので、足の早いものを避けつつ、いいろいろ買い物かごに詰め込んでキャッシャーにたどり着いてちょっとビックリ。キャッシャーはインド人のお姉さんだった。日本語も英語も流暢。
「インドネシアから看護婦さんがやってきた」なんてニュースが大きく取り上げられ、デヴィ夫人が「インドネシアからの救世士」なんてはりきっていましたが(どうも私のブログ・サーフィンは妙な方角に流れていきます)、日本のメディアの視点は丸1年ぐらい遅れているような気がしてならない。
ひいては、そうしたメディアの視線を気にする政治家の争点は2年ぐらい遅れているのではないだろうか。
「海外からの移民受け入れ反対」なんて気炎をあげてみても、もう実態は大丸ピーコックをごらんあれ。邱永漢さんが中国からの人材派遣ビジネスの話をしはじめたのも、もうかれこれ数年前。下町の町工場では中国人労働者なしではやっていけない状況になっている。
逆もまたしかり。30年前に韓国に追い抜かれた日本造船業界は、最近積極的に中国(川崎重工、常石)やベトナム(三井、IHI)、フィリピン(常石)に出ばって、現地の人たちと共に、ハイクォリティな製造業技術の開発に従事している。すでに「日本v韓国」というナショナリスティックな構図は過去のものとなりつつある。
以前のエントリーでもふれたが(コチラとコチラ)これからグローバルに活躍できる日本人は「ものづくりニッポン」とさけんで政府の支援を取り付ける人ではなく、世界の舞台で「ひとつくり」ができる人だろう。
こうした真のグローバライゼーションを直視する視点を共有してくれるメディアは日本ではなかなかお目にかかれないし、政治家の論点はまったく的をはずしている気がする。まぁ、日本の選挙でキャスティング・ボードを握っているのは「現場」をはなれた「ノン・ワーキング・リッチ」(by池田信夫)だからしょうがないか。
以前のエントリーでもいったが、歴史の潮流の本流は全然あさっての方向を流れている。
(The Economist紙も日本経済は政治の迷走にもかかわらず、他の先進国経済に比べて健全だといっている。コチラ。)
ちなみにこのエントリーのタイトルは、イギリスの下院議員だったTony Benn氏へのトリビュートです。Bennさんはかなりの変わり者で、子爵(viscount)だったお父上が亡くなった時、そのまま貴族院入りできたのに、爵位を捨てて下院議員であり続けた。メモ魔としても有名で、毎日の新聞一面記事の切り抜きをスクラップ・ブックに貼付けたものを、何十年分も記録として保存していた。その理由を問われて、
「新聞の一面記事に振り回されるような政治家にならないために。」
と答えた。
下はBBCの時事問題討論プログラム「Question Time」で、当時のアメリカ国連大使、John Bolton氏に喰ってかかるTony Bennさん。
オマケ。1959年の労働党のテレビ政見放送(?)で、なんとなくオタク的ハイテク・イメージ(1959年当時のレベル)を振りまく若き日のBennさん。
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2 years ago
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