Saturday, August 18, 2007

Quaglino's and My Salad Days

イギリスのグルメ・ブームの嚆矢ともいえる、サー・テレンス・コンランがプロデュースして1993年にオープンしたレストラン。

まずは詳細。

Quaglino's
16 Bury Street
St. James's
London SW1Y 6AJ
Tel: 020 7930 6767

食べ物は「モダン・ヨーロッパ」路線とのたまわれていますが、このレストランの売りはなんといってもそのデザイン。コンラン・テイスト、バリバリという感じ。洗練されています。イメージとしては豪華客船のメイン・ダイニングなのだとか。入り口からちょっと急な階段を下りるとバー・エリアがあり、そこからまた上の写真のような階段を下りるとダイニング・エリアにたどり着きます。この階段を下りる時はまるでダイニング・エリアの客全員が観衆のような感覚。気分はまるで宝塚。そんなあなたは自意識過剰?

ちょうどこのレストランのオープンの時期と前後して、同じ通りの建物の天井裏フラットに引っ越したので、当時はご近所さんでもありました。

そんなわけで、このレストラン、私の恥多き青春時代の背景として登場してまいります。

当時、資格試験の勉強に励んでいた(はずの)私。机のテキストから目をあげれば、窓の向こうは非常階段にタバコをを吸いに出てきた裏隣りのオークション・ハウス、Christie'sのお姉さまたち。

まぁ、無精ヒゲはやしたむさくるしい法学生だった私と、世界中からやってくるお金持ちのカモ相手にルックスを磨き上げていたお姉さまたちとの間に「青春」は始まりませんでしたが。

以前のブログで紹介した「盲腸騒動」もこのフラットに住んでいたときの事件でした。

実際にQuaglino'sを舞台にして起こった事件は...

デートの相手が生牡蠣にあたっちゃって、「Your Place or My Place?」以前に私のフラットのトイレへ直行してしまった「生牡蠣事件」。

某著名経済アナリストのTさんが、ガールフレンドに振られた私をはげまそうと、ありがたいことにここのバーで飲みに誘ってくれたのだが、傷心の私はひたすらドライ・マーティニ、アルマニャックをガブガブ飲んだくれ、シガーをスパスパふかしたあげく...オダブツ。Tさんはレストラン・スタッフの冷たい視線を浴びながら、デッドウェイトとなりながらも、「まだ飲むぞ~」とわめく私を引きづりながら長い階段を出口まで登り、フラットまで運ぶ羽目になった「はなはだはた迷惑な振られ男事件」。

そして「私をスキーから連れて戻って事件」。

1999年の初め。当時つるんでいた友人たちの中にフレンチ・アルプスのスキー・リゾート、Meribelでシャレーを経営していたカップルがいたので、友達グループ10人弱ほどでスキーしに行ったのでした。

まぁこのスキー旅行中もいろいろ恥ずかしいハプニングがあったのですが、それはまた別の機会ということで。

往き返りの手段は「パーティー気分を盛り上げよう!」という一部の強引な意見により、ロンドン-パリ経由の寝台列車ということに。

その帰りの寝台列車でのこと。

連日のスキー疲れでぐっすり寝こむやつ。最後の最後までドンチャン騒ぎで盛り上るやつら。そうした「その他大勢」のキャストの耳目が届かない列車の通路の片隅で、私は前から気になっていたとある女の子とその翌日デートする約束をとりつけたのでした。

翌日、有頂天で待ち合わせ場所としたQuaglino'sのバーに乗り込み、ドライ・マーティニをオーダー。腕時計をきにしつつ彼女を待つこと暫し...

...こない...

ドライ・マーティニ二杯目...

...こない...

頭の片隅で

♪待ぁてぇ~ど、暮らせぇ~ど、来ぬ人を~♪

などという大正ロマンなメロディーがなり始める。

そろそろ1時間近くたったころ、三杯目のドライ・マーティニは隣りに座ったおっちゃんが同情してくれておごってくれた。

そこへ彼女登場。

「...にゃ、にゃ、にゃんか遅くにゃいかい?」

「えっ?時間通りだけど。」

「ふぇっ?」

「あなたの時計...まだフランス時間なんでしょ...」

...どっか~ん!

...そ、そうだったのか...。

なんとかその場は持ちこたえたものの、スキーの疲れからか酔いが回るのが早く、あの後一緒に見に行った「Shakespeare in Love(恋するシェークスピア)」(1998)の最中にシートからズリ落ちる失態。

結局、彼女との「青春」も始まらなかった。

そんな彼女も今では二児の母親らしい。

あれからもう8年だもんね。

しかし今でもロンドンでQuaglino'sの前を通ると、あのころの恥ずかしい思い出が浮かんできて、中に入るのが躊躇されてしまうのです。

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