Friday, August 31, 2007
Hollywood Espionage
あのエントリーでも書いたとおり、この話を初めて聞いたのはゴア・ヴィダルの「Screening History」という短編エッセーを読んだとき。主に戦前、1930年代の映画を背景に当時のアメリカ政界とヴィダル個人の思い出を語っている、その向きがお好きな方(オレぐらいか?)には面白い本です。
本来であればこうした「スパイ物」の話題はたまねぎの皮をむくように、外側から核心にじわりじわりと話を進めていったほうが面白いのでしょうが、いきなり本題から入ってしまいます。
映画監督・プロデューサーであったアレクサンダー・コルダ(1893~1956)はウィンストン・チャーチルのハリウッドにおけるエージェントだったのです。
亡命ハンガリー人(ユダヤ系)であったコルダがイギリス国籍を取得したのは1936年。1942年にはナイト位を授爵しています(チャーチルが首相だった時)。
そしてコルダ君、本国イギリスがチェンバレン首相の下で反戦ムードに流れる中、チャーチルの意を請けて、一生懸命
「アメリカ人諸君、風前の灯のイギリスをともに救おう」
っていうプロパギャンダ映画を作っていたのです。
いや、プロパギャンダ映画といってもナチのゲッペルスがやったような露骨なヤツではなく、もっと微妙なヤツですが...
例えば...
「紅はこべ(The Scarlet Pimpernel)」(1934年)
主役のサー・パーシー・ブレイクニーを演じるのは、レスリー・ハワード。後の「風とともに去りぬ」のアシュレー君。なんとコルダと同じ、ハンガリー系イギリス人。
お話の内容は...フランス革命の下、暴政の犠牲となりギロチンの露と消えゆく運命のフランス人貴族たちを救う謎のヒーロー「紅はこべ」の正体は...いかに!
...ナチスの暴政の下、犠牲となるユダヤ人たちの命を救うヒーロー...はいないのかい!
「Conquest of the Air」(1936年)
航空技術の発展をなぞったドキュメンタリー・タッチの作品。第一次世界大戦における航空戦の映像もあり。若きオリヴィエが再現シーンで出演しています。
...再軍備したドイツに遅れをとっているものの、イギリスは空軍力の充実に力を注ぐべきだ!これは当時、野に下っていたチャーチルが提唱していた政策。ちなみにイギリス空軍のスター戦闘機スピットファイアの試作機初飛行はこの映画と同じ1936年のこと。
「Fire Over England」(1937年)
スペインの暴君、フィリップ二世の命により迫りくる無敵艦隊!エリザベス女王とイングランドの運命はいかに?!オリヴィエとヴィヴィアン・リー演じる若い二人の恋人たちの運命は?!そして果敢にスペイン艦隊に夜襲をかけるオリヴィエ君の命運は!?
...ヨーロッパ本土は暴君の手に落ちた...しかし小国とはいえイングランドあるかぎりヨーロッパに自由の光は消えないのだ!がんばれイングランド!(アメリカ早く応援に来い!)
「The Four Feathers」(1939年)
所属部隊の出撃直前に部隊を辞した元英国陸軍士官が、「臆病者」の汚名を雪ぐべく、窮地に陥った部隊を救う大活躍!
...アメリカ!まだ遅くはないぞ!早く応援に来い!
なお、この作品には「ゼンダ...」のザプト大佐ことオーブリー・スミス君が登場します。
「That Hamilton Woman」(1941年)
イギリス海軍のヒーロー、ネルソン提督(オリヴィエ...またかよ...)とハミルトン夫人(ヴィヴィアン・リー...またかよ...)の間に燃え上がる不倫の恋...しかし暴君ナポレオンある限りヨーロッパに平和は訪れない。ヒーローは恋人の腕を払いのけ、祖国のために死地に赴かなければならないのだ!
この映画はチャーチルのいちばんお気に入りの映画だったとか。
ヴィダルによれば、こんなコルダ君や関係者のがんばりにより、1937年にプレイボーイなエドワードのピンチヒッターとして戴冠したジョージ六世(今のエリザベス二世のパパ)が北米訪問でアメリカに来たときには、映画好きのアメリカ人たちはすっかり「国王の勇敢なるしもべ」を演じる用意ができていたとか。
ヴィダルの観察によれば、当時のイギリス人映画制作者もアメリカ人の大多数が世界地理にうとい事を知っていたので、映画の冒頭に必ず「地図のシーン」があったのだとか。つまり、誰かが主人公の手を取り、地図や地球儀を指差して、
「ごらん...この島国がイングランドじゃよ...」
というシーンが必ずあったと。
そういえば、「カサブランカ」の冒頭でもフランスのパリからカサブランカまでの道のりを示す「地図のシーン」があったっけ。
確かに今でも「日本は中国南岸にある」なんて平気で言っちゃうアメリカ人ですから、ちゃんと教えておかないと勘違いな国に攻め込んじゃうかもしれないもんね。(ブッシュもイラクにいっちゃったし...。)
チャーチルはお父さんの代からロスチャイルド家と関係が深い。それだけが理由じゃないと思うけれど、チェンバレンに代表されるイギリスのエスタブリッシュメントがナチスのユダヤ人に対する差別政策に目をつぶって和平政策をとるようなことに、チャーチルはがまんできなかったんだろうなと思うわけです。そしてそうした背景がチャーチルと反ドイツ・親イギリスで結束したユダヤ系映画人たちのネットワークの接近に一役買ったのではないかと思うんですが、どうでしょう。
なお、「ゼンダ城の虜」のプロデューサーはデイビッド・O・セルズニック。彼もユダヤ系です。そしてこのセルズニックが一世一代の大作「風とともに去りぬ」(1939年)に取り組んだとき、主役のスカーレット・オハラに抜擢したのがコルダ作品で世に出たヴィヴィアン・リーだったというのには、なにか因縁があるのでしょうかね。
なお、日露戦争時に戦費拠出のためにロンドン・ニューヨーク市場で国債発行を模索していた高橋是清がその目的に成功した陰には、当時ユダヤ人圧迫政策をとっていたロシアに反対するユダヤ人ネットワークの協力があったからなのだ。そこにもチャーチルとロスチャイルドは登場している。
追記:念のため言っておくが、私は「ロスチャイルド家の陰謀」...「赤い盾」...まがいの陰謀説者じゃございません。誰が言った言葉か忘れたが、「陰謀説」というのは、万事万象の因縁関係は知り得る、また説明できると思い込んでいる人間の傲慢の現れなのだそうだ。
Thursday, August 30, 2007
Prisoner of Zenda
なつかしい。
確か初めて原作の和訳を読んだのは中学生のころ。その後イギリス留学中の1990年ぐらいにテレビでこの映画版を初めて観た。ジョージ・マクドナルド・フレイザーのフラッシュマン・シリーズのパロディー版「Royal Flash」も読んでいる。
アントニー・ホープの原作の出版が1893年だっていうから、この話も古いんだねぇ...。この手の「普通の人が王様や大統領と瓜二つで替え玉をやるという冒険譚」の元祖でしょうな。そうした意味では映画「Dave」や「影武者」のひいおじいさんぐらいにあたるのかもしれない。
この1937年の映画版では主役のルドルフ・ラッセンディル/ルリタニア国王ルドルフ五世を「コールマンひげ」のロナルド・コールマンが演じている。国王の親友、フリッツ・フォン・ターレンハイム役はまだ若い、ゆで卵みたいな顔したデイヴィッド・ニーヴン(以前の関連エントリー、その1、その2)。国王に忠実なザプト大佐はオーブリー・スミス。
かたや悪役勢。国王の弟、マイケルはレイモンド・マッセー(後にリンカーン役で名を成します)。ヒトクセもフタクセもあるマイケルの手下、ヘンツォウのルパートにダグラス・フェアバンクス・ジュニア。そしてマイケルの愛人、アントワネット・ドゥ・モウバンにメアリー・アスター。
アスターさんは「マルタの鷹」でもラストにボギーを誘惑しようとして、ボギーにイケズにされています。なんか、そんな役が似合うハリウッド女優には珍しい「昔の名前で出ています」的、陰のある美人なんでしょうか。まぁイングリッド・バーグマンの懇願にもなびかなかったボギーですから(「カサブランカ」ね、念のため)、しょうがないか。
それにしても、こういう「淫らな女」役をフランス人にしてしまう原作者、ホープさん。なんかいかにもイギリス人な短絡思考です。
映画公開時には、この「だらしない国王に代わってイギリス人紳士が正義を行う」というプロットラインが、シンプソン夫人に骨抜きにされて大英帝国の玉座を辞した(1936年の出来事)エドワード八世への批判と受け止められたらしい。確かにフリッツ役のデイヴィッド・ニーヴンが言う最後のセリフ、
「歴史は必ずしも正しい人間を国王に選ばない」
というのはウィンザー公エドワードへのあてつけととれるかもしれない。
コールマン、ニーヴン、そしてザプト役のスミスは当時のハリウッド在住イギリス人俳優のリーダー的存在だったので、何らかの意図がそこに働いていたとしてもそれは不思議ではないかもしれん。
もっと面白い話は、コールマンが実はイギリス情報局のエージェントだったらしいという話。これは作家のゴア・ヴィダルが言っているのだが、もしそうだとしたら国王になりすますルドルフ役を演じるコールマン君の演技をまたいっそう興味深く観ることができます。
オーブリー・スミスはクリケットのイングランド代表だったこともあるらしく、ハリウッド・クリケット・クラブのキャプテンだったとか。 そしてスミスは戦後、「良好な英米関係への貢献」を理由にナイト位を授爵されている。
そしてサンドハースト(イギリスの陸軍士官学校)出身のニーヴン。
怪しい三人組だ...。
君たち...第二次世界大戦前夜のハリウッドでいったい何をしていたのかね...?
付録:なんか笑えるゼンダ城の虜ファンサイト...というか悪役のはずのマイケル応援サイト。
Tuesday, August 28, 2007
Salon For Kindred Spirits
後に続く独立戦争後のリーダー世代や19世紀人は、しかめつらしいモラリスト、または偽善者(ジェファーソン君、キミのことだよ!)だったりしますが、啓蒙主義時代の空気を吸った18世紀人だったベン君は話がわかる人だった。
若い友人の「ムラムラしてしょうがないんですけど...」みたいな質問に、
「肉体関係を持つのなら年上の女性を選びましょう...彼女たちに感謝されますから。」
なんて言っちゃうヘンなオヤジ。
(このAdvice to a Young Manは必読。英語が古臭いので読むのに苦労するかもしれませんが、「... in the dark all cats are grey...」など、爆笑することまちがいなし。)
まぁ、ワシントン君がチンタラチンタラ独立戦争をやっている間、9年間(1776~1785)、外交官としてフランスに居座り、フランス国王相手に軍事協力を取り付けたり、シレッとした顔で戦争遂行のための借金したりしていたのですから、一筋縄でも二筋縄でもいかないジジィだったんでしょう。(日露戦争時の高橋是清に通じるかもしれない。)
そんなベン君がまだ21歳の若僧だったとき、フィラデルフィアで「フント(Junto、ラテン語で「会議」の意)」という雑談サロンの開設を企画します。ここでの議論や会話がその後の独立運動に結びついていくわけです。
21歳でそんなサロンを仕切っていたベン君。17歳のときにボストンの実家を家出してきたばかりの印刷工のわりにはなかなかの社交上手です。
話が脱線しますが、いろいろな陰謀説に登場するフリーメイソンなんかも、その存在意義においてはこのJuntoとたいして変わりは無かったと思うんですよね。
あの当時の人たちにとって社交の場なんて日曜日ごとの教会がある程度。とくに大地主で農場経営に忙しいワシントン君やジェファーソン君みたいな人たちはご近所付き合いもできない(というかご近所さんがいない)。教会じゃしにくい話なんかもあるし...ってなところで「フリーメイソン」がオルタナティブな社交・意見交換の場を提供していたのではないでしょうか。
最近アメリカやイギリスでもこのベン君のJuntoに倣った「意見交換サロン」が流行しているようです(しかもなぜかヘッジ・ファンド・マネジャーたちの間で)。
ふりかえって、わが日本。
人間関係がすべて縦割りだった江戸時代に、社交や意見交換の場を提供していたのは...
司馬さんの「竜馬がいく」を読むまでも無く、千葉・桃井・斉藤の江戸の三大道場をはじめとする剣道道場だったり、緒方洪庵の適塾、吉田松陰の松下村塾、そしてマイナーなところでは高野長英や村田蔵六が学んだ広瀬淡窓の咸宜園だったりしたわけです。
やはり長幼の別が厳しい儒教道徳の影響下にある日本では「サロン」というフラットな組織ではなく、同一の「先生」を仰ぐ下での「門下生」という形のほうがすんなりといくんでしょうな。
まぁ、慶應義塾なんてのもこのラインの延長線上にあるわけだし、近いところでは松下政経塾とか、大前研一さんの「ビジネス・ブレークスルー」とかグロービスなんてのもこの類でしょう。
日本にいたときにちょっと顔を出したことのある青年会議所とか、ヒルズ族系社交パーティーなんかは、人と人との結びつきに発展したり、新しいアイディアが開花するような土壌ではないんでしょうね。(男と女の結びつきに発展していたところはあるようですが...っていうかそれが目的だったのか...って今頃気がつくなよ...)
やはり日本人は「お勉強」「修行」という媒体を介した方が人間関係が発展するマジメな人種なんでしょう。
Monday, August 27, 2007
Billy Joel Is A Beatles Fan
なにげなしにWikipediaのエントリーを眺めていたら、面白いインタビューへのリンクがあった。
このリンク先の「Billy Joel Meets The Beatles」という音声ファイルを聞いてみてください。
1964年のアメリカ音楽シーンの情景が浮かんでくるようなビリー君若き日の思い出話。
ケネディ暗殺による若い世代の失望感。エルヴィスに代表される、ハリウッドに買収されて牙を抜かれてしまったロック音楽。そして公民権運動の高まりにより、穏健派世論を恐れたラジオ放送局がR&Bを流さなくなってしまう。
そうした飼い殺しの状況にいたアメリカの若者たちに、いかにイギリスからやってきた四人組が衝撃を与えたか。
自分たちで曲をつくり、自分たちの言葉で歌詞を書き、自分たちなりに演奏する。
そして反体制、反権力のスタンス。
年若いビリー君は「シビレテ」しまったわけだ。
聞いていて「なるほどねぇ~」、と納得しました。
それにしてもこのインタビューでビリー君が披露するハリウッド・ユダヤ人の口調や、ジョン・レノンの口真似は、あまりにもドンピシャで笑ってしまった。
ところで先日のエントリーでもタッチしましたが、日本のKanって本人も認めるとおりビリー・ジョエルの影響をうけまくっているんですな、これが。
日本で大学生をやっていたとき(1989年...のことです...)、先輩の車で聞いた「TVの中に」。Kanの歌い方がなにかに似ているんだよな~...と思っていたのですが、最近気がつきました。ビリー・ジョエル君の「Easy Money」でした。
Sunday, August 26, 2007
Mystery, Thy Name Is My Son
Saturday, August 25, 2007
Investment Management As Defensive Game
転職前の思惑(その1・その2)や、その後の意気込み(その1・その2)など、いろいろ考えながら「オン・ザ・ジョブ・トレーニング」してまいりましたが、今回は資産運用という「お仕事」そのものに関する現時点での感想を少々。
まずは「資産運用会社にお金を預けるということは守りの投資」であるということ。
尊敬する邱永漢さんが、
「投資信託なんて自分の頭を使わないで儲けようとする人たちのものです。」
なんて相変わらずのドライな言い方で一刀両断していましたが、実際にその業界に身をおいてみて見回したところ、まぁ当たらずとも遠からずなお言葉だなと思います。
ただ言わせていただきたいのは「利殖のことに頭を使わないですむ」というメリットを馬鹿にしてはいけないということですね。
邱さんも機会のあるごとに「株の儲けは辛抱料」「がまんが必要です」なんていっていますが、つまりそれはそれだけ「辛抱」できず「がまん」が足りない人たちが多いということの裏返しなわけです。
おおざっぱにいってえしまえば、資産運用業界の仕事はこうした「辛抱」がきかず「がまん」できないお客さんの代わりに辛抱してがまんするようなものだということです。
そして運用成績が悪化したときに、お客さんに「辛抱」や「がまん」してもらうためにTracking Errorというクッションをあらかじめもらっておくのです。
Tracking Errorとは運用成績を計る際に基準(ベンチマーク)となるインデックス(例えば日本株であればTopix)に対してパーセンテージにしてどれだけ差が出ているかという数値を指します。
運用会社はそうしたTacking Errorの「クッション」をもらった上で、許容範囲内のリスクをとりつつ、アップサイドを探します。
このような前提で運用していますので、「イケイケドンドン」な投資ではなく、どちらかといえばボトムラインを気にしながら運用していく「守り」の投資であるというわけです。
実際、アクティブ運用している投資顧問会社の90%はインデックスに負けているという歴然とした統計があるわけです。市場はプロにだって甘くない...。
Friday, August 24, 2007
Human Resources
中国はもちろんのこと、アジア全体の経済が拡大している中で、それを支える人材がいない。既存の教育機関・制度が、必要とされる人材の育成に適さない。
結果として賃金インフレはもちろんのこと、肩書きインフレが起こっているとか。
確かに名刺だけ見るととんでもなくゴリッパな人が中国にはたくさんいます。
「海外教育を受けた出戻り組は、同僚から歓迎されない場合が多い...」という観察にも、大きく頷いてしまいました。
邱永漢さんのネット・サイトにブログを書いている柳田洋さん(中国で会社経営をしている)が書いていたが、日本人がそのチームプレーヤーとしての本質をうまく活かせば、活躍の場はたくさんありそうなもの。しかし語学と腰の重さと「井の中の蛙」気質が邪魔している。
おりしも9月からスタートする香港の部下が見つかり、またNY訪問中の東京オフィスの人からも採用関連の相談をされ、これからは「人材発掘」はもとより、「人材開発」というテーマを念頭に置きながら仕事しなければな~...と思い直した次第。
Title Tunes From British TV
どうしてなのかはわかりませんが、イギリスのテレビ番組のテーマ音楽にはいいものが多い気がします。ただ単に11年間滞在して聞きなれているからだけじゃないと思うんだけど...
まずは大御所。ITV(民放局)のGranada製作、日本でもおなじみのジェレミー・ブレット演じるシャーロック・ホームズ・シリーズのオープニング。
渋いな~。実際に原作でも「ヴァイオリンが下手の横好き(ワトソン談)」と設定されているホームズ君をふまえたのかどうなのか、ヴィクトリア女王時代の爛熟したロンドンの雰囲気が伝わってきます。
ちなみに、ジェレミー君は若いときに「マイフェアレディー」でオードリー・ヘップバーンに恋するフレディー役をやってました。その話もまたいつか。
探偵つながりで、次はジェレミー君の演じるホームズ同様、「決定版」との呼び声高いデイヴィッド・スーシェ演じるエルキュール・ポワロ・シリーズのオープニング。
これまた渋い!1920年代、ジャズ・エイジを彷彿とさせるサックスのメロディーにアール・デコ調のバック。こちらも製作はグラナダでございます。
ジャズ・エイジとくれば忘れてはならない、20世紀前半のイギリスを代表するコメディー作家PGウッドハウスの「ジーブスとウースター」のテレビ版。はしにも棒にもひっかからない金持ちのボンクラ、バーティー・ウースターと彼の万能召使いのジーブスを、当時まだ若手売り出し中だったヒュー・ローリーとスティーブン・フライが好演しています。
こちらもITVで放映されていました。
BBCからはコメディー・シリーズ、「オンリー・フールズ・アンド・ホーシズ(Only Fools and Horses)」のテーマ曲。
「オンリー・フールズ・アンド・ホーシズ」とはテーマ曲の歌詞中にもあるように、「(汗水流して働くのは)バカと馬だけさ」というコックニーの慣用句です。
私自身はイギリス滞在中、全然観たことないのですが、有名どころでは、次の「Eastenders」でしょうか。
いわゆる「ソープ・オペラ」と呼ばれる連ドラのたぐいですが、アメリカの場合「ダラス」とか「ディナスティ」などのように超金持ちのゴージャスな世界を舞台にした話が多いのに、なぜかイギリスでは世知辛い庶民の生活を題材にしたものばかりです。ここら辺にも国民性が現れているような...。
テーマ音楽でBBCが優れているのはスポーツ番組でしょう。まずは定番、総合スポーツ番組「Grandstand」のテーマ。
お次はサッカー専門番組「マッチ・オブ・ザ・デイ(Match Of The Day、最近では略してMOTD)」のテーマ。
グランドスタンドとマッチ・オブ・ザ・デイのテーマがハミングできれば、世界中どこのバーに行っても飲んだくれのイギリス人とお友達になれます。
こちらはもう少しお上品な「Wimbledon」のテーマ。
こちらは個人的なお気に入り、「Ski Sunday」
イギリス人選手がほとんど活躍していないスポーツなので、超マイナーな番組です。
最後、おまけ。
おまけのおまけ。
おまけのおまけのおまけ。
今年の9・10月にニュージーランド航空に乗るのは避けておこう...。
Wednesday, August 22, 2007
Tuesday, August 21, 2007
"Beautiful Girls" and My Son's Questionable Taste In Music
"♪Beaaaautifuuul Girrrrls~♪"
His sudden outburst of lust has puzzled me for some time but I have finally found out the source of it.
Here it goes. Y'all, give it up for Sean Kingston!
I mean... Sean who? And that baseline is a shameless copy of Ben E. King's immortal "Stand By Me" for crying out loud!
I must say it's a bit spooky to see my 5-year-old son running around the house singing
"suicidal, suicidal..."
And why does this sort of reggae-ish groove appeal to him? I might blame this on that Jamaican midwife who made it doubly sure that he had two testicles when he was only 5 minutes into this world.
Of course, a far easier answer to the conundrum is that he got it from one of the summer camps he has been attending.
I have ceased to have any strong feelings about these musical copycats. There are too many of them to be upset about, starting from Mozart recycling some of the melodies from his operatic arias in his piano concertos, Billy Joel using a theme from Beethoven's piano sonata and Strawberry Switchblade using Sibelius' symphony. Some do it well, with style. Some make pathetic excuses, like Vanilla Ice on sampling Queen/David Bowie's "Under Pressure".
Still, I cannot help feeling a little sad about those young "talents" wasting their 15-minute fame on cheap repackages like this, only to be forgotten by the next year and briefly resurfacing circa 2020 in Vh1's "I Love 2000's" (if MTV is still interested in music then, that is).
Those boys and girls have been reduced to be mere lubricant for the increasingly creaking music industry machine. The industry nowadays seems to be only interested in creating revenue on cheap replaceable commodities like Mr. Kingston, Ms. Spears, High School Musical and so on and so forth.
I think there are two interesting developments out of the present malaise in music industry.
One is the increased emphasis by the artists on and renewed appreciation by the fans of artists' ability to carry live performances.
Prince gave away free CDs of his latest album, turning his back of record companies and encouraging his fans to appreciate his phenomenal talents at live concerts. True music fans are also beginning to realise that nothing beats live performance for truly unique musical experience. (Can Christina Aguilera be included in this group, too, although my eyes would be as busy as, if not busier than, my ears at her concert?)
The other interesting development is the shifting moral hazard of copying.
It is somehow reminiscent of the current "sub-prime scandal".
Securitizaiton of mortgage loans has replaced the traditional direct relationship between borrowers and lenders with indirect relationship between borrowers and fund investors, who ultimately underwrite the risk.
The mass-production of music on the back of copycat-repackaging by the industry has replaced the hitherto direct relationship between the copying artist and the copied artist. It is now the record companies and their producers who are encouraging so-called "artists" to perform the copied materials for instant hits.
This seems to me that the music industry is by themselves undermining the value of intellectual property rights that they proclaim to protect against the encroaching Internet industry.
I have no idea how these trends will play out in the next, say, 10 years. In any event, it may be a good idea to take my son out to BB King Blues Club and Grill and expose him to some live music whilst we are in New York.
And finally... some examples of dubious sampling, Japanese style...
This is Billy Joel's "Uptown Girl".
This is 「愛は勝つ(Ai wa Katsu)」 by Kan.
Stardust
本当は思い切り馬鹿笑いできそうなコメディー映画、「Superbad」を観ようと思っていたのだけれど、売り切れだったので、ガラにもなくファンタジー映画、「Stardust」を観てきました。
Monday, August 20, 2007
Origin of Harajuku Gothic Lolita?
そのスジの人たちにはもうすっかり常識なのかもしれないけれど、「ゴスロリ」ってやつのルーツはここらへんにあるのでは。
Strawberry Switchbladeの1985年のヒット。「Since Yesterday」。ちなみにイントロのホーン・セクションはシベリウスの交響曲5番のパクリです。
しかし徹底的にブルーカラーなスコットランドのグラスゴー出身のねぇちゃんバンドの現実逃避ファッションスタイルが、日本の現実倒錯ファッションの源泉ってのは...笑える手品の種明かしみたいだね。
Saturday, August 18, 2007
Quaglino's and My Salad Days
まずは詳細。
Quaglino's
16 Bury Street
St. James's
London SW1Y 6AJ
Tel: 020 7930 6767
食べ物は「モダン・ヨーロッパ」路線とのたまわれていますが、このレストランの売りはなんといってもそのデザイン。コンラン・テイスト、バリバリという感じ。洗練されています。イメージとしては豪華客船のメイン・ダイニングなのだとか。入り口からちょっと急な階段を下りるとバー・エリアがあり、そこからまた上の写真のような階段を下りるとダイニング・エリアにたどり着きます。この階段を下りる時はまるでダイニング・エリアの客全員が観衆のような感覚。気分はまるで宝塚。そんなあなたは自意識過剰?
ちょうどこのレストランのオープンの時期と前後して、同じ通りの建物の天井裏フラットに引っ越したので、当時はご近所さんでもありました。
そんなわけで、このレストラン、私の恥多き青春時代の背景として登場してまいります。
当時、資格試験の勉強に励んでいた(はずの)私。机のテキストから目をあげれば、窓の向こうは非常階段にタバコをを吸いに出てきた裏隣りのオークション・ハウス、Christie'sのお姉さまたち。
まぁ、無精ヒゲはやしたむさくるしい法学生だった私と、世界中からやってくるお金持ちのカモ相手にルックスを磨き上げていたお姉さまたちとの間に「青春」は始まりませんでしたが。
以前のブログで紹介した「盲腸騒動」もこのフラットに住んでいたときの事件でした。
実際にQuaglino'sを舞台にして起こった事件は...
デートの相手が生牡蠣にあたっちゃって、「Your Place or My Place?」以前に私のフラットのトイレへ直行してしまった「生牡蠣事件」。
某著名経済アナリストのTさんが、ガールフレンドに振られた私をはげまそうと、ありがたいことにここのバーで飲みに誘ってくれたのだが、傷心の私はひたすらドライ・マーティニ、アルマニャックをガブガブ飲んだくれ、シガーをスパスパふかしたあげく...オダブツ。Tさんはレストラン・スタッフの冷たい視線を浴びながら、デッドウェイトとなりながらも、「まだ飲むぞ~」とわめく私を引きづりながら長い階段を出口まで登り、フラットまで運ぶ羽目になった「はなはだはた迷惑な振られ男事件」。
そして「私をスキーから連れて戻って事件」。
1999年の初め。当時つるんでいた友人たちの中にフレンチ・アルプスのスキー・リゾート、Meribelでシャレーを経営していたカップルがいたので、友達グループ10人弱ほどでスキーしに行ったのでした。
まぁこのスキー旅行中もいろいろ恥ずかしいハプニングがあったのですが、それはまた別の機会ということで。
往き返りの手段は「パーティー気分を盛り上げよう!」という一部の強引な意見により、ロンドン-パリ経由の寝台列車ということに。
その帰りの寝台列車でのこと。
連日のスキー疲れでぐっすり寝こむやつ。最後の最後までドンチャン騒ぎで盛り上るやつら。そうした「その他大勢」のキャストの耳目が届かない列車の通路の片隅で、私は前から気になっていたとある女の子とその翌日デートする約束をとりつけたのでした。
翌日、有頂天で待ち合わせ場所としたQuaglino'sのバーに乗り込み、ドライ・マーティニをオーダー。腕時計をきにしつつ彼女を待つこと暫し...
...こない...
ドライ・マーティニ二杯目...
...こない...
頭の片隅で
♪待ぁてぇ~ど、暮らせぇ~ど、来ぬ人を~♪
などという大正ロマンなメロディーがなり始める。
そろそろ1時間近くたったころ、三杯目のドライ・マーティニは隣りに座ったおっちゃんが同情してくれておごってくれた。
そこへ彼女登場。
「...にゃ、にゃ、にゃんか遅くにゃいかい?」
「えっ?時間通りだけど。」
「ふぇっ?」
「あなたの時計...まだフランス時間なんでしょ...」
...どっか~ん!
...そ、そうだったのか...。
なんとかその場は持ちこたえたものの、スキーの疲れからか酔いが回るのが早く、あの後一緒に見に行った「Shakespeare in Love(恋するシェークスピア)」(1998)の最中にシートからズリ落ちる失態。
結局、彼女との「青春」も始まらなかった。
そんな彼女も今では二児の母親らしい。
あれからもう8年だもんね。
しかし今でもロンドンでQuaglino'sの前を通ると、あのころの恥ずかしい思い出が浮かんできて、中に入るのが躊躇されてしまうのです。
Thursday, August 16, 2007
Dance Dance Dance
Monday, August 13, 2007
Chick Flick
Saturday, August 11, 2007
Nobody Does It Better (Nobody Has It So Good, For That Matter)
Simon & Schuster was founded in 1924 by Richard L. Simon and M. Lincoln Schuster.
Richard Simon married Andrea Louise Heinemann, half black half Jewish singer and civil rights activist. Their third daughter also became a singer and went on to win two Grammy Awards, a Golden Globe and Oscar.
Her name is Carly Simon.
I am not a big fan of her music but some of her songs do stick to my musical memories.
Like this timeless ditty... about Warren Beaty, allegedly...
Then there is this song about me... in my dreams...
Some scary reflections of a broody woman... as used in the movie "Heartburn" (1986).
And the Oscar winner. The Best Music, Original Song winner for 1989 Academy Awards from "Working Girl".
You have had it so good, baby. I bet you think this song is about you...
Friday, August 10, 2007
German Sense of Humour
Damon君はギャラの額と比較して出演作のBox Officeの収入がいい「収益率」トップの男優になったとか。
相変わらずスター性にかける切り口だな~(苦笑)。
この「Bourne Ultimatum」ではドイツのVW(フォルクスワーゲン、ね...念のため)がかなり力を入れてプロダクト・プレースメント(広告代わりに自社製品を作品中に登場させる)している。
オマケに映画の封切りとかみ合わせたコマーシャルも展開している(日本ではこういうのを『コラボ』というのだろう)。
VWさんもがんばっていらっしゃるが、この裏にはアメリカ市場でサッパリ売り上げが上がらないVWの苦渋があるらしい。
同じドイツ車メーカーのライバルであるベンツやBMWがアメリカ市場でのブランドを確立しているのに比べ、VWはその後塵を遠くに拝している。
そしてどうやらその原因はVWのドイツ人トップたちがアメリカ市場における自社ブランドイメージを的確に把握していないからだそうだ。
アメリカ人にとってVWのイメージは...
こんなんだったり...
これは博報堂さんのお仕事らしい。
とは申せ、トヨタの快進撃もすでに昨日のニュース。これからの注目は一敗地にまみれたアメリカ勢のどこが一番先に身辺整理を済ませてリバウンドしてくるかでしょう。
ダイムラーに捨てられて、サーベラス食いつかれ、曰くつきのCEOを送り込まれたクライスラーさんには早くも暗雲が立ち込めているので、フォードとGMの二者択一...どっちかといえばGMかな~と思っている今日この頃なのです。
ちなみに私の車関連のコマーシャルNo.1はこちらです。
なんか本田宗一郎さんのイメージが浮かんできて泣けてくる。 オレも日本人やな~。
こちらは「メイキング・オブ...」です。
Wednesday, August 01, 2007
Lullaby of Birdland
Yes... the legendary Jazz club. The very one.
Of course, the current one stands at the different location from the original where Charlie "Bird" Parker (a.k.a. Forest Whitaker in my memory) graced the stage. Still, it was a spine chilling sensation to be there.
But, last night, I was after more than just a Jazz legend.
I was at Cast Party, an "open mic" cabaret hosted by Jim Caruso on Mondays at Birdland.
Just to reassure some of my friends who are familiar with my sing-along antics, no, I did not inflict myself on the audience.
It's a very good value entertainment.
Some performers are good.
Some not so good.
Some are just downright horrible. (Strangely, the worse the performance is, the more the performers seem to be enjoying themselves.)
In any event, the host, Jim Caruso, keeps the audience entertained with his acid sense of humour and his own phenomenal performing talents. The back-up musicians are great, too.
Music tends to be jazzy, with some Broadway stage numbers.
Highly recommended.
I must admit that I am a bit of musical geek. It must have something to do with my childhood encounter with Julie Andrews in "Sound of Music" and a decade of learning English through many other musical films and their songs.
It is definitely uncool in the current music climate but, hey, I am old enough not to care. Apparently, pop music industry's target consumer's average age is 14. One of my favourite recently-discovered comedians, Rob Paravonian, explains that that is why Fergie has gone solo from Black Eyed Peas. The musicians were holding her back from becoming a pop hit.
Leonard Bernstein said that musical is the reflection of the way American people speak. I suppose the Americans are speaking Hip-Hop now.
Anyways...
If you are a musical geek like myself, another place you might find fun (and alarming) is Marie's Crisis. It's just a basement bar with a piano. But the piano is played by some Broadway stage rehearsal pianists (I think) and they play musical tunes with full audience participation. Yes. I mean "full". Everybody sings along at this bar.
It is one thing to have the self-awareness as a musical geek. It is entirely another thing to be surrounded by like-minded people and having your inhibitions stripped away in public.
I must admit that it is slightly worrying that these two venues make up most of my notable after work activities so far in NY after 5 months. Maybe I am far more uncool than I thought I was at first.