Wednesday, October 24, 2007

Gettysburg


来月まで家族が戻ってこないので、自宅で無聊を慰めるためにこんな映画をまた眺めています。

Gettysburg」(1993年作品)。

前回登場のTed Turner氏がファイナンスした映画です。

1975年のピューリッアー賞を受賞したMichael Shaaraの歴史小説の映画化。題材はいうまでも無く、アメリカ南北戦争の「関ヶ原」。1863年7月1日から3日までの3日間にわたってペンシルヴァニア州ゲティスバーグ周辺で行われた戦い。

監督のロナルド・マックスウェルは小説を一読して感動し、すぐさま映画化を目指したものの、15年間もあちこちの映画会社に断られ続けていたところに、Turnerさんが救いの手を差し伸べたのだとか。

もともと南部(ジョージア州)出身のTurner氏にとって、南北戦争というのは特別な意味を持っているらしい。

ちなみにTurner氏、映画の最後、ピケット将軍指揮下のヴァージニア師団の突撃シーンに登場します。しかもその役が「パットン大佐」。あの第二次世界大戦のパットン将軍のご先祖様。銃弾飛び交う中、銃剣きらめかせた南部兵士の隊列の前にたち、

「Let's Go, Boys!」

と叫んだとたんに弾に当たって死んでしまう。

エグゼキュティブ・プロデューサーなのに、こんなんでいいんかい?

以前も取り上げましたが、南北戦争というのは現在のアメリカのありようの基礎になっている歴史の1ページですので、もっと映画の題材として取り上げられてもいいはず。しかしその重要性のために、かえって政治議論の標的になってしまうということもあり、ハリウッド映画業界ではタブー視されているのだとか。

偉大なる例外は「風とともに去りぬ」ですね。

以前ご紹介のゴア・ヴィダルさんに言わせると、南北戦争とはアメリカにおける「イリアッド」なのだとか。


映画作品としては、主だったキャラクターを演じる役者さんたちが、それぞれ気合の入った演技を見せてくれるのがおいしいところ。特にメイン州第20連隊指揮官のジョシュア・チェンバレン大佐を演じるジェフ・ダニエルズと、リー将軍を演じるマーティン・シーンが出色。リー将軍の右腕、ジェームズ・ロングストリート将軍を演じるトム・べレンジャーなんて、これがあの「メジャー・リーグ」で、セガレのほうのチャーリー・シーンとじゃれていた役者と同一人物とはとても思えません。(まぁ、メイクでつけている途方も無いサイズのヒゲのせいもありますが。)

それを言えば、ジェフ・ダニエルズだって実写版「101匹ワンちゃん大行進」の役者と同じ人には見えません。

最後の突撃を前に南部の兵士たちがマーティン・シーン/リー将軍を取り囲み「リー!リー!リー!」と意気を上げるシーンは実は偶然の産物だったという話。エキストラとして大挙して参加していた南北戦争コスプレ愛好家たちが、突然現れたマーティン・シーンを観て大興奮。彼を取り囲んで「マーティン!マーティン!マーティン!」とやり始めてしまったのをスタッフが「どっきりカメラ」よろしく撮影していたらしい。だから良く観ると兵士たちの口の動きは「リー」ではなく「マーティン」といっているのが分かる...とか。自宅でDVD観ながら確認してみましたが、どうもはっきりそれとは分かりませなんだ。

印象に残ったこと。

DVD特典のスタッフによるコメンタリー付ヴァージョンを眺めていたら、リサーチャーの人の、

「ピケット将軍の正面突撃は成功していたかもしれない。」

という一言が頭の片隅に残った。

どうやら正面突撃の前に行われた南部砲兵隊による一斉射撃の照準精度がもっと高ければ、勝負は分からなかった、という話。

結局、南部の技術・テクノロジー面でのお粗末さが勝敗を分けたということか。

なんか吉田満氏の「戦艦大和ノ最期」にも通じるような教訓ですな。

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