Thursday, June 18, 2009

グローバルな金融規制強化の動きとロンドンの動向 - New Global Financial Regulation and Caymanisation of the City

とりあえずメモっとく。


連銀(乱暴ですがFRBをこう呼ばさせていただきます)の監督権限の強化と、消費者/個人投資家の保護を目的とした新政府機関の設立。そして国際協調がおおきな柱の一つとなっている。

ヘッジファンドの皆さんは、モナコで開かれたGAIMコンファレンスでアメリカより一足お先に発表されたEUの新規制案にこぞって反対しているらしいが(コチラ)、オバマもヘッジファンドのSEC登録制度を目指している。こうなってくると、ファンド・マネジャーの逃げ場所はロンドンか?ダーリン蔵相はEU主導の規制強化に反対しているし、EUベースの新監視機関の設立にも反対だ(コチラや、コチラ)。



1997年に香港が中国に返還された際、邱永漢さんが「香港の中国化が始まるのではなく、中国の香港化が始まるのです。」と卓見したが、どうもケイマンなどのオフショア活用をしまくっていたシティの金融マンたちは、気がついたらロンドンのシティそのものがオフショア化し始めていた...なんて事態になりそうな気配がする。

イギリス人は、世界金融の舞台で16世紀の海賊時代に先祖がえり?

まぁ、かつての大英帝国の母艦も、今となっては金融とプレミア・リーグぐらいしかめぼしい産業がないのだから、苦しい。

もっともファンド・マネジャーさんたちも、尻に帆かけて逃げだそうと思えば、自ら「アジアのオフショア・センター化」を政策に掲げているシンガポールや、今後とも上海に水をあけたリードを保ちたい百鬼夜行の香港だってあるのだから、暑さと「シーズン(ヘンリー・レガッタのボート・レース、アスコットの競馬、ウィンブルドンのテニスと、春から初夏にかけて行われる一連のロンドン社交イベント)」がない事を我慢すれば、アジアの片隅で立派に海賊人生を送れると思うが。

とにもかくにも、このグローバルな時代に、19世紀から勃興してきた「国民国家」という枠組みが対応しきれていない実態の片鱗が、こうした政策イニシアティブの場において明らかになっている。やはりファーガソン教授がいうように、「帝国の時代」がやってくるのだろうか。

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