「私はこんな本を捨ててきた」
でいってみたいと思います。
高校生のころ、渡部昇一さんの「知的生活の方法」なんて読んだころは、
「将来は書斎いっぱいの本に囲まれて、パイプをくゆらしながら『知的生活』をおくるのだ...」
などと、今から思えばチョーこっぱずかしぃ~、赤面噴飯ものの考えがありましたが(まったく...「痴」的生活の間違いじゃねぇのか?)、東京からイギリスに引越し、イギリスから東京に戻り、東京から鎌倉へ移り、鎌倉から某カリブ海の島を経て香港へいたったころには、
「人生、身軽に限る」
とすっかり宗旨替え。
いったいぜんたい「書斎」だったはずの部屋が妻の趣味で「茶室」にかわり、家の中ではいたずらなセガレの手の届くところには何もおいておけない今の状態では「知的生活」など夢のまた夢。一読して自らの血肉にならない本、もしくは常に座右におきたいと思えるような本以外は、さっさと処分する方針に変えました。
もしまた読みたいと思えばまた買えばいいのだ。
そんなわけで、ニューヨークもあと2週間を切りましたので、アマゾン等で入手した本の整理・処分をするべく、ニューヨークにもあるBook Offまでいってきたわけです。
第一回の処分本は以下の通り。
三谷宏治
どっかで推薦されていたので買ってみましたが、いやぁ~つまらんかった。両方とも半分も読んでいません。私の頭脳が三谷さんを必要としていないのか、三谷さんの世界があまりに高尚で私がついていってないのか、どっちかわかりませんが、現在の時点の私にはまったくご縁のない本でした。
「決断力」
羽生善治
自分が伝えたい自分の考えをはっきりしたテーマとメッセージとして簡潔に書いている。物書きのプロでもないのに、ものすごく冴えた筆力だなと感心しました。やはり頭が良い人なのですね。
邱永漢さんのご推薦。とはいえ、邱さん自身は、この本の内容を推薦しているというよりは、「ものづくり」から「金で金をつくる」経済に変化していく日本、というご自身のものの見方の証左としてこの本を捉えているような気がしました。
岩崎さん、以前私が書いた、
「無知蒙昧な愚民になり代わり...」
という典型的日本のエリートタイプであられるようです(元興銀マン...)。
個人的には岩崎さんが言っているような「大変化」がそうすぐに日本に訪れるとは思いません。
特に岩崎さんが力説する、KKRのような外国勢による「黒船」ショックは多分当分無いでしょう。
残念ながら。
ブルドッグソースごときで大騒ぎする日本のマーケットに国際資本は嫌気をさしているし、今の日本企業は世界的レベルでみてお買い得感ないもんね。
特に買収対象になりそうなダメな会社に限ってコストが高いし、買収した後のエグジット(出口)戦略の見通しが立たないケース多い。
買収後の経営ノウハウにしても、「経営のプロ」と呼ばれるような人材がマーケットに豊富にいないし(ユニクロの元社長がアイスクリーム屋やっている国ですからね...あぁもったいない...)。
世界中を浮遊する国際資本にしてみれば、面倒な日本でビジネスするよりは、もっと安く儲かりそうで戦略的に重要な中国や東南アジアにいった方がよっぽどお得。
(「国際資本」といってもその中には日本のお金がいったん国外にでたあとに戻ってきている場合も多いんだけど。)
日本のM&Aは日本の国内企業が、
「もうドラスティックにやらなきゃどうにもならん!」
てな具合になり、生き残りをかけて動き出すことにより始まると思う(というか現にそうなってきている)。
以前の「10・15年説」じゃないが、日本における本格的国際M&Aの大乱闘が始まるのは2014年前後じゃないかなと思っている。
単純にリップルウッドが新生銀行を再上場させたのが2004年だからなんだけど。
ま、そのころには団塊世代もリタイアしきって、自分たちの職(=既得権益)を守ることより、資産のより効率よい運用の方に興味を持ち始めるだろう。
それまでに極端な円安が進んで、国外からやってくる投資家には日本のものが何でも安くみえてしまう...というシナリオもありかな。
ついでに言えば、「死にそうな会社を買うより、死んだ会社を買ったほうが安い」ということもあります。
というわけで、いろいろ頭を刺激してくれる本でしたが、リピートには耐えないと思ったので、Book Offにひきとってもらいました。
キープしているのは陳舜臣さんの「中国の歴史 近・現代編」です。
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