Wednesday, June 11, 2008

オヤジラグビーのススメ

ウィンストン・チャーチルは彼の前半生の自伝「My Early Life」で、

「世界で一番使える紹介状はポロのハンディキャップだ」

と言っている。

もともと騎兵士官だったチャーチルは訓練の一環としてポロをしていたし、馬が日常生活の欠かせない一部だった当時、ポロ用の馬を飼っておくことは今に比べてそうとんでもなく贅沢なことではなかった。

(もっともキャッシュ貧乏な政治家だったパパ・チャーチルは、セガレが歩兵科に落第して、よりお金がかかる騎兵科に進んだことに文句を言ったらしい。チャーチルよりいささか時代は下るが、地中海のマルタ島で陸軍少尉をやっていたデヴィッド・ニーヴンも、実家が貧乏でポロ用の馬を持っていなかったが、外洋演習で留守にする海軍士官から留守中の馬の運動と世話を頼まれて、ポロをすることができたといっている − そこで馬の世話だけでなく彼の奥さんの世話までみちゃった...というのがご愛嬌...。)

そんなわけで、インド・アフリカ・ヨーロッパ・アメリカと大英帝国とその周辺の国々の社交界を渡り歩くのに、ポロのハンディがある(つまりプレイできる)ということはトップテーブルへの招待状だったわけだ。

今のご時世でポロなんてよっぽどのお金持ちか、お金持ちお抱えのプロ選手ぐらいにしか縁はないが、ポロにかわる招待状はラグビーなんではないかなと思う。

もっともポロのように「華やかな社交界」へのキップではなく、どちらかといえば「不良中年の吹き溜りへのご招待」みたいな感じがありますが...。

世界中にひろがるラガーマンのつながりにはすばらしいものがあります。わたしもイギリスで20歳の時にラグビーを始めてからこれより、イギリス、日本、ケイマン島、香港(あとニューヨークでもほんのちょっと)と行く先々のローカルチームに顔出して、

「ラグビーできます...マゼテください」

とやってきました。おかげさまで見知らぬ土地で一人寂しく無聊をかこつ...なんて文学的なことをしないですんできました。

「スクール・ウォーズ」よろしく、限りある青春の散華みたいにラグビーに打ち込むのも、もちろんすばらしいことですが、息長くラグビーをつづけることにより、いろいろな人たちとの交流を楽しむというラグビーとの関わり方があってもいいんではないだろうかと思うわけです。

そこで、「オヤジラグビーのススメ」です。

ここで突然ですが「オヤジラグビー」を楽しむためのルール。「オヤジ・ラガーの4つおやくそく」(多分あとで増えていきます)。

1. 最低でも一試合にフル参加できるだけの体力は自分の責任でキープすること。

日本の「不惑」ラグビーみたいに10分ごとのローリング・サブ(途中交代)が認められているような試合では別ですが、そうでないのであればチームの一員として責任を全うするだけの体力は確保しましょう。往年のスター選手の飛び入り参加...じゃないんですから、「あぁ...いい汗かいた...あとよろしく」なんてぇのは、ひんしゅく買うだけです。

2. チームにおける自分の役割を素早く把握すること。

ラグビーはチーム競技としては最多の15人で1チームを形成します。ラグビーの醍醐味はこの15人がいかにうまくチームとして機能し、相手チームを凌駕していくかにあります。チームに新参者として参加するあなたがしなくてはならないことは、いかに自分がより効果的にチームに貢献することができるかを素早く把握することです。それはプレーの面でも、リーダーシップの面でも同じです。ようするに今はやりの「空気を読む」ってやつです。そして間違っても「頼まれたからプレーしてやってんだろ」という態度は慎みましょう。プレーヤー不足はどのチームも同じこと。そこにつけいってでかい態度しているやつなんて下の下です。

3. チームの能力にマッチした作戦を選択する。

これはゲーム・メーカーとなる8、9、10、12、13、15の選手が特に注意しなければならないことです。確かにあなたがラグビーやっていた高校チームは花園の常連だったかもしれませんが、高校生のときやっていたゲームを30代のオヤジ・プレーヤーに期待しても無理ってもんです。日本人チームでよくあることなんですが、スクラムから美しいパスワークでウィングまで一気にボールをまわして、相手ウィングと1対1の勝負でタックルくらい、ターン・オーヴァー。「フォワード!集散が遅い!」って怒鳴られても、あれに追いつけるような足を持ってたらフォワードしてませんよ...第一オマエらゲイン・ライン切ってねぇじゃん...。オヤジ・フォワードが絡むことができる地点でまずしかけ、素早い球出しでセカンド・フェーズ...という具合に、みんなの身体能力の可能な範囲で試合を組み立てていかないと、フラストレーションがたまるばかりです。

4. 家族で参加できるチーム作りをめざす

オヤジには家族があります。ラグビーなんて道楽を家族の犠牲の上で楽しむなんてのは本末転倒です。ファミリーライフを犠牲にした上でのラグビーは長続きしませんし、家族の支持がないチーム運営は必ず行き詰まります。毎週末とはいいませんが、せめて毎月ぐらいはバーベキューをやるとか、試合後にチームの家族づれで食事に行くとかして、みんなで楽しめるラグビー・ライフを企画しましょう。

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