Friday, May 17, 2013

映画とTVで学ぶ「英国史」- III


近世:チューダー朝(1485~1603)

リチャード3世をボズワースの戦いで葬り、イングランド王位に就いたヘンリー7世(1457~1509、在位1485~1509)は、ヘンリー2世より続いたプランタジネット朝に代わって、チューダー朝を開きます。

ヘンリー7世、ヘンリー8世、エドワード6世、メアリー1世、エリザベス1世と続くこの期間、イングランドは王権がより強固になります。その理由としては、ひとつにはそれまで相次ぐ内乱の原因でもあった諸侯・貴族の力を削ぎこれを抑えたこと。そしてなによりも、ヘンリー8世の女性関係のもつれから、カソリック教会と訣別し、国王を信仰の保護者と戴く英国国教会を創立したことがあげられます。

カラフルなヘンリー8世や、その娘エリザベス女王と、「キャラが立ってる」主役級がそろったこの時期も、芝居や映像作品の題材としてよくとりあげられてきました。

ヘンリー8世を扱ったものとしては、最近のTVシリーズ「チューダーズ」が有名ですが、どうもなんだか私にはコスチューム・ソフトポルノにみえてしまい、好きになれません。(ソニー・ピクチャーズ、申し訳ない。)
 

ヘンリー8世の二番目の妻、アン・ブーリンにまつわるヨタ話を題材に映画化した「ブーリン家の姉妹」(2008年)などという作品もありますが、所詮は異説もの(面白い異説ですが)。どちらかといえば、歴史のお勉強というよりは、それぞれ姉と妹を演じるナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンのファン向け映画といった趣があります。
 

あまり昔の映画ばかりを選びたくないのですが、やはりヘンリー8世を題材にした映像作品では、1966年の「わが命尽きるとも(A Man for All Seasons)」が群を抜いているように思えます。

物語の焦点を、やりたい放題のヘンリー8世にたてついた一市民トーマス・モアにあてた作品で、モア役のポール・スコフィールドが輝いています。王と宗教の対立ということで、前述の「ベケット」に通じるテーマですが、ヘンリー2世/ベケットの時代とことなり、チューダー朝の時代になると宗教そのものというよりも、個人の信仰/良心の自由ということにフォーカスがシフトしているところが「近世」を感じさせます。
 


ヘンリー8世の娘、エリザベス1世は、映画・TVの題材としてひっぱりだこなので、選択の対象が多すぎるようにも思えます。

古くには、第二次世界大戦直前のイギリスで、国威発揚を目的に作られた「無敵艦隊(Fire over England)」(1937年)などという作品があり、これはこれで作成された時代を反映していておもしろいのですが、ここはやはり「とっつきやすさ」ということで、比較的最近にケイト・ブランシェットがエリザベス1世を演じた「エリザベス」(1998年)、そしてその続編、「エリザベス:ゴールデン・エイジ」(2007年)をおすすめします。
 

 

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