Wednesday, March 19, 2008

私はこんな本を捨ててきた

私はこんな本を捨ててきた...第2弾。

「あるべき金融」
2003年 東洋経済新報社
堺屋太一
刈屋武昭
植草一秀

大昔に買った本が、本棚の奥で肥やしになっていました。

5年前、日本の「識者」といわれている人たちはこんなことを言っていたんですね〜と。底辺に当時の小泉政権への批判があります。

5年後に日本の金融政策がどうなったのか、「識者」の視点にブレはないか(まぁ植草さんの視点はとんでもないところを覗いていたみたいですが)...などを検証するのも面白いですが、古本屋行き決定...(でも引き取ってもらえるかな...?)

「開高健 夢駆ける草原」
2006年 つり人社
高橋昇

開高健の本かと思って買ったら、だまされた。開高氏のいろいろな探検に同行したカメラマンの本。しかも写真が多いのはしょうがないとして、文章が書けないもんだから、当時の関係者とのまったく意味のない対談でページを埋めている。だったら潔く写真だけで勝負をしろ!

なんかとある故人の法事で疎遠な親戚のくだらねぇ世間話を聞かされて「あぁ、早く寿司喰って、酒飲んでかえろ。」ってな感じの読後感。

「しくじった皇帝たち」
2008年 ちくま文庫
高島俊男

中国文学者、エッセイストとして活躍の著者が、隋の煬帝と明の建文帝を取り上げた、別々に発表された文章二編をあわせて単行本化したもの。

歴史上、悪役として定着した観のある煬帝を庇護する前半。成祖永楽帝に追われた建文帝の出亡伝説とそれを題材とした幸田露伴の「運命」を取り上げた後半。両方とも高島さんの博学と寸分漏らさぬ広大な文献検証に裏づけされていて、読み応えあり。とくに後半部分。露伴の作品が実は清代の漢籍を漢文訓読しただけのものであることを喝破し、露伴の作品を誉めそやした当時の「知識人」のバカサカゲンをあげつらうあたり、高島節炸裂しています。

十分おもしろかったけれど、同じ著者の「三国志きらめく群像」や「中国の盗賊」といった代表作にくらべれば、軽量級の観、免れず、処分決定。

「与太郎戦記」
2005年 ちくま文庫
春風亭柳昇

1969年に初版が発行された落語家の従軍記。上記の高島氏の推薦で読んでみた。

確かに面白い。そして哀しい。まえがきにあるように、本人が真剣であればあるほど、第三者からみて「馬鹿馬鹿しい」と笑える戦争話。この突き放したドライでストイックなユーモアが本作品の土台になっています。噺家の面目躍如。

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