前回の「未来予想」と関連して、「うらない」ということに関して、高校生のときにとある啓示があった。
当時同居していたおじさんがこっそり読んでいた中国の艶笑小説集の本を見つけ、スケベな思春期の真っ盛りだった私はニヤニヤしながらカッパブックスだったかなんかの文庫本を隠れ読んでいた。その本のなかの短編のひとつに登場する占い師が次のように語る(正確な言葉は忘れましたが)。
「占いってのはね、未来に起こることをあてるもんじゃないのさ。占いってのは今現実に目の前で起こっているのにみんなが気がついていないことをコッソリ教えてあげることなのさ。」
う~ん...深い...。
本自体はくっだらねぇ本だったし、お話のひとつひとつは全然覚えてない(たしか嫪毐の話なんかが載っていた)。でもこの言葉だけは忘れられない。
宮崎市定先生は歴史の研究とは未来を予測したいと思う人の気持ちの反映だという(「アジア史論 ― 世界史序説」)。
第二次世界大戦中、1941年年の秋、イギリス陸軍将校として従軍していた俳優のデヴィッド・ニーヴンはプライヴェートでチャーチルに会う機会があった。ヨーロッパはドイツに蹂躙され、レニングラードの包囲戦が始まりロシアは風前の灯。イギリス自身もドイツ軍の空爆にさらされ八方ふさがり。ニーヴンが
「アメリカは参戦するでしょうかね?」
と聞いたら。チャーチルは自信をもって
「そのうちとんでもないことが起きてアメリカは参戦する。」
と根拠のない(と当時のニーヴンには思えた)ことを明言した。
4週間後に日本軍による真珠湾攻撃があり、アメリカは連合国側に参戦した。
後日ニーヴンが、
「なぜあんなに確信をもって予想ができたんですか。」
ときいたら、チャーチルは、
「そりゃワシが歴史を勉強しとるからじゃ。」
と答えたという。("The Moon's A Balloon")
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2 years ago
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